「……で!どういうことですかっ!?」

1時間目と2時間目が終わり、中休み。

私は隣にいる輝きのオーラを纏う、人気モデルに聞く。


「……ん?俺が学園長(校長)に頼んでもらっただけ」

人気モデルの答え。

『自分でこの学校の学園長に頼んだだけ』


……どんだけ権力あるんだ!!!
この……意地悪王子様……いや、意地悪王様!!

「……」
私は沈黙をしているけれど、心の中は大騒ぎであった。


「……俺さー……また楓を教えてあげるために来たのに〜」

これは先輩の本音だとは気づかずに。


「……へっ!?」
私は変な声を出していた。

それと同時に先輩の頭の中に何かが閃いたのか、

「ありがとう。とかは?」

意地悪をしてきた。

私はきっと気のせいだと思い、

「……あ、ありがとう。」

一旦、普通に感謝を述べる。


「そうじゃないよ。〝先輩〟だから……」
そう言いながら、私の耳元に近づいて。


「ありがとうございます。だろ゛?」


……っ!!!

先輩めぇ〜〜!!
なんて心の中で歯を食いしばりながら、先輩を見る。

私は背が小さいからか、無自覚に上目遣いになっていて。
……だからか、先輩の視界は……私の上目遣いで、染まっていた。


「……っ何?楓は、昨日はキスまでしたのに……こんなに可愛いの?」

耳元で小さく囁く、爽やかそうで、ドSそうな先輩の声。


「……っ!き、キスは言わないで……くだ、さ、いっ…」

昨日のことを……今日のように思い出したくな…い…っ!

「……可愛いね〜…王政義數に送ろうー」

「……や、やめてくださいっ!」
私は先輩の携帯を取ろうとするけれど、先輩が高いからか、すぐに、携帯はもっと上への高さと行ってしまう。

パシャっ。

カメラのシャッター音が鳴る。

「うん。良い出来栄え」

「ちょっ……本当に!!!」

「……あぁー!楓が怒り出したぁー。……怖いなぁ〜」

やばい!!やばいっ!!
こんな仏頂面見たくないでしょ!?

私は先輩の携帯を取ろうとするのに、やっぱり取れない。

ここで、私の小さい身長を後悔するとは……!?

ピロンっ。

「よし、送った!」

終わった……っ!!!
王政義數に見られるのは……恥ずかしいっ!!!

ピロンっ。

「あっ、来た」

えっ?瞬間すぎでしょ!?

「おー。さすが、本気以上の溺愛っぷり」

本気以上の溺愛っぷり?
……やばい。先輩が言ったことを繰り返してしまった。

「『その写真消せ』だって」

「えっ?……王政さんに同意ですっ!!早く!!」

「……その意味じゃないと思うよ?…楓さん」

「えっ?」

「まぁ。そのことは気にしないで……前、見てみ?」

「えっ?」
私は先輩の思うがままに、前を見てみる。

「……秋風!!数学のテスト返してないから!!来い!!」

前にいたのは、イクメン先生で。

「えっ?!!はいっ!!!」

よ、良かった〜。

イクメン先生に怒られるかと思ったぁ〜。

はい。安堵。
安心。このイクメン先生は、怖いからね〜。

魔王様よりかは怒りは、怖くないけれど。

私はイクメン先生からもらったテストを机に置いて、廊下で空を見渡していた。
そして、3、4時間目も順調に終わり、昼休みに入って、灯ママが作ってくれた弁当を灯と一緒に食べていた。