「……1ヶ月後ってなんだろう……」
ふと呟いている、私の小声。
忘れようとしていたのに、なぜか思い出してしまう。
違和感が私の心の中にまだ残っていたからなのか、ボソッと呟いてしまったのだろうか。
『……手紙、見ろよ』
今も片方の耳元に囁いた王政さんの声が脳内に響く。
「……っ」
その耳元を私は自分の手で閉ざす。
「……?けど…手紙?」
私の今日来ていた上着を見る。
今日だけ、上着をハンガーラックにかけておこうと思って、
上着をかけているハンガーをハンガーラックにかけておいたのだ。
上着のポケットになんか、違和感があったような……?
と私は頭の中で王政さんに抱きしめられたときのことを思い出す。
『……手紙、見ろよ』
命令口調みたいに言われて、何かを入れた心地がしたような。
違和感があったような……。
上着のポケットに私は手を入り込ませる。
ガサっと少しだけ音がする。
か、紙……?
私はその物を掴んで、自分の視界に捉える。
その視界に捉えた紙は……花火大会のポスターの紙と……折り込んである1枚の手紙だった。
……?
何これ……?



