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「……俺は、お前が……王政義數が…楓を奪うなら……俺が楓を奪ってやる。」
……えっ?せ、先輩?
私は、先輩が王政さんの家の扉を開け、そう言っているのが聞こえている。
だが、私は……
は……はいっ!?
……驚愕の顔が隠せない。
「せ、先輩?」
私は先輩を見る。
「……っ!?!!楓っ!!大丈夫か?!王政義數に何もされなかったかっ!?」
それとは裏腹に、先輩は、私を心配そうな目で見る。
「……?…は、はい」
私はなぜそんなことを尋ねるのだろうと思いながら、先輩を見る。
「……ほら、言ったじゃねえかよ。」
へっ?
「……お前はいつもいつも……なんで良いところを…」
「はぁっ」とため息を吐きながら、髪をくしゃくしゃとかいている先輩。
………ちょっちょっと待て待て!!
一体何が起こっていらっしゃるのでしょうか?!
「お前もなっ?」
ば、バチバチだぁー……!
何も言えない。
口を慎まないと……先輩と王政さんのW睨みが、私に降り掛かりそうで。
何も言えない(2回目)……!!
「……行くぞ。楓」
王政さんぽい声だけれどもーーーーーーーーーーー
「……えっ?」
ーーーーーーーーーーー先輩?
先輩だった。
先輩が私の腕を引っ張って、無理矢理、
私の足に靴を履かして、扉を出ようとしたとき!
もう1つの私の腕が、掴まれる。
「……?!」
私は掴まれた方へと、視界を向ける。
それと同時に私の先輩が掴んでいる腕が解かれて、
さっき、掴まれた人の胸ぐらへと私の体は来ていた。
「……俺の嫁に出すとは良い度胸じゃねえかよ?」
「「……っ?!?」」
先輩も。私も。
同じように、目を大きく見開く。
だけれど、目を開けた2人の意味は、違かった。
よ、嫁……で、すかっ!?
「……手紙、見ろよ」
「へっ?!」
私の耳元ですぐ王政さんは爽やかすぎずの声で囁き、
すぐ、王政さんの腕が私の体を解く。
「……お、うせいさんっ?」
だけど、私が言ったと同時に、私の上着のポケットに、王政さんの手が入り込んでいた。
それに私が、気づくのはもう少し後。