でも、イヤなのだ。この人に答えるのは………!
だって、裏の顔は……
『ねえ。俺を見ないで?』
冷血人間でもあり、俺様の声も出る人だ。
そのときは怒るときのだ。
怖いときは……私が鎮めなきゃいけない。
まぁ要するに、私だけに答えて、女の子が睨むこともイヤ。
あの人が怒るのもイヤなのだ。
ワガママではない。……もう。私って。どんだけ。
「子王葉透先輩………「モデルの名前は……?」
「《AoBa–アオバ–》……。」
「分かってんじゃん。」
ーーーーーーーーーーーーーー幸せよりの不幸ものの人なのだろう……。
喜び、歓喜どころじゃない。
悲しみ……だ。
芸能人2人知り合いなんて、そりゃあ、みんな、聞き捨てならないよね。
………だし、そんなやりとり、みんな見てる場合じゃないし!!
担任の先生が、何か突っ込んでくれないの……?!
「あ、あの、せ、先輩、まず……自己紹介……」
「はぁっ。わぁったよ。面倒くせえな……?」
ほら出た。
これは、怒っているとき。分かりますもの。
「あ、あのその言い方は……モテる率がダダ下がりですよ…?」
「……まぁそうなんだよね…楓、じゃあ、自己紹介したら、隣にいさせて?」
「い、嫌でーす………」
軽く口答えをしてみたけれど。
「うるせえ。俺の言うこと聞いてろ」
なんて俺様な言い方をしながら、私をギロっと睨みながら、黒板の前に立って。
「子王葉透です……よろしく。モデル、やってる」
と言い終わったら、「終わったから、早く行って良い?」と担任の先生に言って、私のところに来た。
いや、来てしまった。
あの、おじいちゃん?
私の声が聞こえるなら言って……?
おじいちゃん、私の人脈……どうなってんの……?
がっくし!っと言いながら、先輩を見ないように、机を視界に向けていた。
「よろしくね。楓……」
耳元で囁く声は、「やっと会えた」と言うのにも聞こえた。



