「……よ、よろしくお願いしますっ……!」
最初は部活の見学で会った。
楓は覚えてないだろうけど、俺は鮮明に覚えてる。
俺は助っ人、ヘルプとして、部活に入っていた。
……というか、俺の1つ上、先輩から頼み事をされていた。
『お願いだ!!子王葉!!俺たちの手伝いをしてくれ!!』
そんな声を今日、何度聞いたことか。
ずっとその言葉、声が頭の中にリピートされ続けたか。
俺は得意の睨めつきで返したけど、部活の部長らは諦めなかった。
分かんねえだろうけど……まぁ、今は先輩に感謝だな。
今更だが、楓が見学した部活は、バレーボール部だった。
女子も男子も背が高く、かっこいいと思い、体験もあると聞いて、部活を見学したいそうだ。
可愛い……誰だよ?
……というか、あいつ、身長、小さすぎないか?
バレーボールをやりたいって……すごいな。
だが……ぶりっ子の可能性だってある。
だって、あいつ以外、全員。
……王政義數目当てだからな。
……か、俺目当てか。
自覚してんのか!?と思われるが、女の目線が俺にも来てるから、自覚はしているとは言っていいだろう。
王政義數。
大手芸能事務所《JIJILA–ジジラ–》に入っていて。
モデル、俳優なんでもありだし、秀才すぎと言われてるらしい。
こいつも、助っ人として入ってるのか。
王政義數は高校生だと聞いていたが……OBとして部活を助けてんだろう。
部長が……「王政義數さんも、このバレーボール部出身だ」
バンっ!バンっ!
とボールが打ちつけられる音が鳴るなか、部長がそう喋っている。
だけれど、あいつ(楓)は。
バレーボール部の肩書き=王政義數がバレーボール部出身がいらないのか、
バレーボールプレーを見ている。
「……っかっこいいなぁ〜」
「ええぇっ!?楓、王政義數を見ないの?!」
「えっ……?誰?それ?」
なんて親友と話している。
その話で……あいつが……王政義數を知らないなんて………
びっくりだ。
「あいつ、知らねえのか……王政義數を!!」
「ヤバすぎるだろ!!」
「先輩っ!!あいつ、先輩の名、知らないらしいですよ!?」
と小声で王政義數の耳に囁く、三年の先輩。
「……あいつと呼ぶな……河林」
「……っ!!!怖いですよ〜〜〜!!?先ぁぱ〜〜〜い!!!」
「うるせえ」
まぁ、王政義數は……俺より前に知っていたと言うことになる……が。
俺が好きになり始めた理由は。
部活の見学が終わった後に楓に会ったときだ。