「お前ら……うるさい……!!」
耳を塞ぎながら、できる限りの大声を出して、私たちを鎮めようとして来る。


……い、いきなり過ぎん?


あんぐりした状況2度目。
今日で2回!あんぐりするの、こんなこと初めてです。

でも、あんぐりしていたうちに、先生が……「入って来てください」と敬語で扉の方に声を掛けていた。


ちょっ……ちょっと待ってよ!!!
クラスの心の中も見てよ!!

今……いきなりの転入生で、びっくりしてんだからさ!!

と思いながら、担任の先生を睨んでいたら。


教室の扉を開けた。

面影は、男の子っぽい体で、私は目が悪いと言っちゃ悪いので、面影しか見えないのだ。

んーと?誰だろう?
と思っていたら、廊下側の席の女の子たちが「きゃあっ♡」と騒ぎ始めた。

黄色い声はどこから出しているんだか。
だけど、私はその女の子の対応している……「ありがとう。」の男の声が聞き捨てならなかった。

えっ……?

待て待て。


この声……!!!


私は、目を細めて、転入生と言われている男の人を見た。
目線を逸らさないようにしていたのに、無意識で自分から目線を合わせに行くとは、自分でもびっくりだ。

だけど、そんなの私の頭の中に入っていない。

目を細めて、目線が合いませんように……なんて願いながら、転入生の顔を見てみると………



「あれ?楓?」



目線合った。

…………合っちゃった。

そんなことを私が思っていたと同時に、クラスの女の子も視線を私に集中させる。……そりゃあ、灯もだ。

うん。知ってるよ。
私の知ってる人。

魔王様と正反対な性格で、髪色が栗色。


外国人か?!と思うくらいの美貌の顔。


だけど、純日本人。瞳は魔王様と同じように綺麗な黒色。


英語もぺっらぺっら。

勉強もすごくて。


人気モデルのーーーーです。
よろしくお願いします。

なんて愛想笑いをし終わったら、私の席にやって来て。



「久しぶりだね……?楓?……ずっと俺は、迎えに来たかった」


「せ、せん……ぱ…「だから……透先輩って言ってよ」

私の震えている声が、私の目の前にいるイケメンモデルが、甘々になっている。

なんで、震えているのかは分からなくて。


「俺の名前、覚えてる?」

分からないまま、私は、目の前に行く人の質問に答える。