もっと、命令したい


そして、私をソファのクッションに押し倒す。

「わっ。」

「……余計な話を……俺以外でするな」


その瞳は私をまっすぐに捉えていて。
電話など眼中にない顔、瞳。

……っ?

胸の高鳴りは一瞬で。

『おーい!!大丈夫……?』
スピーカーをオンにしていないからか、小さい声で、先輩は心配している。

その声で我に返って、目を開いて、我に返ったということを表現する。

その私の顔を見たのか、魔王様は。

「……何度も言うけど、楓は俺のものだから」

「へっ!?」
この私の変な声ばかりは大声を出したから、先輩に………

『楓!?』

………聞こえていた。

だけれど、その声は魔王様に消されて。

「これから、お仕置き……するぞ」

切なそうな顔でもあり、意地悪そうな顔で魔王様は私を見た。


その顔を見た、私は……不思議と胸がキュンとした?のかもしれない。






ーーーーーーーーーーーー『おーい!大丈夫?』






この声をもう1回、私の耳が聞こえているのに。

私の視界の中に映っている男の顔が。


「……どこ、触られたんだ?AoBaに?」


ニヤニヤ笑い、意地悪そうに私を見てくる。

……さっきの切ない顔は、どこ行きましたか?

あの…一瞬の切ない顔にキュンとしたんだと思うけれど。


……いや待て!!キュンとした……って……私は。

私は!!

王政義數、魔王様のことが……。


「……言え。早く、触られてところ言え」



……好きじゃ……ないんだから。



あの、格差を見たでしょ?
格差のことを花奈さんが、話してくれたでしょ……?

だけれど、そのことは私の頭の中には無くて。


「……こ、腰で、ですっ……」

無意識に、魔王様と目を合わして、言ってしまう。


『おーい!!あれ?本当に繋がってる?』

……っ?!
やばいっ……!!

先輩のこと……「おいAoBa」


……わ…すれ…てた?!

「ま、魔王様っ?!」

私は小声で魔王様に話を持ちかけようとする。

けれど。


「……っ!?」



魔王様がーーーーーーーーーーーー


私の両腕を魔王様が片手で私の頭上に持ち上げる。


『静かにしろ』


口パクでゆっくりと、私に伝える魔王様。

ーーーーーーーーーーーー許さない。