「……なんか、ごめ、ん、な?」

咄嗟に出て来た言葉が「ごめん」って……


……ダッセえー。俺。

だけれど、俺は楓に謝りたかった。

あの演技でのキスのこと。
嫉妬心が治らなかったキスのことも。


「……っ?…なっんで……あ、あっ謝るんですかっ?」

えっ?

「……俺がしたこと……認めねえよな?」


「……こ、ここで、言うんで、すかっ……!!?」

一瞬びっくりして、そのあとは、ふふっと笑った、楓の顔。

やっと。



やっと。


「笑った。」


「……っ!?」

「……可愛い。」

「か、可愛くないっで、すっ!!」

そう楓は、言い終わったら、ボソボソと小声でゴニョゴニョと何か流暢に喋っているではないか。

気になるじゃねえかよ。

「そんな小声で喋らないで……俺の方みて、喋って……?」

俺はわざと可愛い子ぶった声をした。


「……っそんな声で喋らないでくださいっ!!」

「あぁー……可愛い、可愛い……楓の、お前の…かわいー声」

悶えながら、俺は可愛いを連呼する。


「……っ可愛いっていっぱい言わないでくださいっ!!」

「何?俺をいっぱい怒って、縛るの?……いいねー楓のドS面」

やばい。妄想して行くだけで……って、俺、ドMじゃねえかよ。

と頭の中で答えで出たときに、楓も、「ドMじゃないですかっ!!」って突っ込んでたし。


「……良かった。お前の可愛い笑顔が見れて………というか、誰を待ってるんだ?」

「……先輩ですけど?」

俺は、楓の顔が笑顔に戻って、安心したすぐに、嫉妬心が心の中に全部に染まった。


「……おい、帰るぞ」


楓は俺だけ見てればいいから。


早く、AoBaが触ったところに……お仕置きしてえ……っ。


できればキスも……って考えていたときに、

「はいッ!?」


と返事をしてくれた。

だけれど、心の底でびっくりしてると分かっているのに俺は……

「あれ?返事してくれた?」

……楓に意地悪してしまう。


「……違いますッ!!」

……っあぁー可愛い。


なんで、婚約破棄なんかした?

俺が嫌いだったか?

楓の笑顔を見れないのは嫌なんだよ。


「……ふーん。……だけどさ、先輩、先輩って……」



「言うな゛」

めちゃくちゃ、嫉妬する。

楓の体触った、先輩=AoBa。

……マジでムカつく。

早く、上書きしたい。

そうしなきゃ、俺の嫉妬心が治らない。


「……っ!!?」なんて可愛い、お顔を、楓は、赤らめながら、俺のあとを付いて行っているなんて露知らず。

俺は頭の中で嫉妬心がもっと、もっと芽生えて、ぎゅっと楓の腕を握って、俺は怜が出してくれてる車に向かった。


……早く、俺のものになればいいのに。


そんな思いが、楓を見るとすごく芽生えていた。