「お疲れ様でした〜〜〜!!これにて、撮影は以上になりま〜〜〜す!!」

拍手が来て、スタッフの皆さんも、魔王様も、先輩も、もちろん私も、「お疲れ様でした〜〜!!」なんて言葉を笑顔で言って……この撮影……いや、悲劇?という名の雑誌の撮影が終わった。

私は、ドレスから、普通の服を着て、先輩を待っていた。

先輩が、「さっき撮ったスタジオの扉の前で待ってて」と言われたので、鞄を持ちながら、先輩を待っていた。

王政さんと終わったら、少しだけで良いから……話したかった……。
私はそのときにぎゅっと鞄を握る。


そのとき!!


「久しぶり!……楓さんっ!!」


………っ!?!

私は慌てて、その声が聞こえた方へと振り向く。

そう、この声は。


「お、お久しぶりです……花奈さん」

私はぺこりと頭を下げて、花奈さんの顔を見る。

ーーーーーーーーーーーー花奈さんだから。

私は花奈さんの顔を見たとき、花奈さんの笑うその姿が、私には……怒っていながら、笑う姿に少しだけ見えた。

花奈さんは、なぜ、いるのかは分からないけれど。


……相変わらず、花奈さんは、オーラがすごい。
王政さんの魔王のときみたいにすごい。


「……どこかで、お話出来ない?!」

まるで、私(楓)のこと、大好きですっ!オーラを醸しながら、私の方へと向かって歩いてくる。

私は少しだけ、そのオーラを悟った。
だって、「結婚破棄してくれない?」と最初に言った張本人ですもの。


「……あ、それは…無理です…」

「なんで?」

「……私、待っている人がいるので……」

逃げた。

これは逃げた方が良い。


「……はぁっ。分かったわ………なんて言うとでも思った?」

良かったとホッとしようと思ったら……。


「……っ」

焦りが私の、背中、体中に一気にやって来た。

「……あなた、いつも、いつも、義數……いや、數くんのところに行きすぎ」

「……っ」

はい。分かっています。
ごめんなさい。結婚破棄したのに……会ってますもんね。

そう思って、頷こうとするのに、本能がそうしたくないと喚いている。


「……あなた、なんで、數くんがいるところに会うの?……私なんか、そんな縁、一ミリたりとも無いわ!」

これが世に言う嫉妬なのだろうか。

だけれど、私は花奈さんが嫉妬とは認めない気がする。
「あなたが嫉妬しているんでしょう?!」なんて言いそうだし。