栗色の地毛に、赤のジャケットを着ていて、ジャケットの中には黄色で、ズボンも黄色。
ピアスは黒色だけれど……靴は青で、マスクが緑。
信号機……と思った方も多いでしょう。
はい。私もその中に入っていると思います。
……あと、派手すぎだと。
このお顔立ちだから、かっこいいと少しだけ思うけど……先輩だったら、服装、もっと違う服を着るとかっこいいと思うけれど。
私は「うーん」と顎を自分の片手でさすりながら、考える。
「どうしたの?何?」
「いやぁー。時間があったらでいいんですが……」
「?」
首を傾げる先輩。
その分からない顔が……イケメンの特権の。
綺麗な瞳で私を真っ直ぐ見ていた。
だけれど、私は、前言ったように、イケメンに揺らがない耐性を持っていると言っていたので……。
………何にも気づいていない。
「あの……服屋に行きません?」
「何?楓から、誘惑って嬉しいんだけど?」
「……誘惑ではないんですけど……?」
なんで、そんな思考になるんや!!
しまった!関西弁になってしまった……。
それは置いて置いて。
「……ふーん。で、どこの店行くの?」
「……あの、忘れてると思いですが…」
私、忘れてたよ……!!!
大事なことを……!!
「?何?」
「お金はー………」
私はそう言いながら、先輩の目を見る。
そう。お金だ!!
お金。
服を買うお金!!
私はゴクリと唾を飲み込み、先輩を見る。
お願い……先輩の服を買うんだから……!!!
「楓。」
「えぇーーー!!?」
私の反射神経って、先輩のときはすごいな。
と少しだけ思いながら、私は完璧での王道の落ち込む声を出した。
「嘘。俺だよ。冗談。冗談」
すぐさま、先輩が否定をしてくれた。
「はぁ〜〜。良かったぁー。いっつも、オレンジジュースとか私の金で支払われていたので……」
「良かったぁ〜」と安堵の息を漏らした。
「んで、店はー……どうする?」
「えーと。どこにしましょう?携帯で探しましょうか。」
私は携帯で、『〇〇駅 服屋』と調べようとしたけど、先輩は人気モデルでもあるので、
『服屋』を消し、『ファッションブランド』にした。
大丈夫かな?と思ったけど。
……ここは都市の地区なんだから。
ファッションブランドの店はありました。
たくさん。
ファッションブランドがたくさんあることを先輩に話したら。
「……えっ?俺、そんな高いとこじゃなくていいよ?あそこの服屋でいいでしょ?」
先輩はそう言って、指を差した服屋は。
おしゃれで、今流行っている高級ファッションブランドの店だった。
「……あ、あの、そ、そそこ、め、め、……めちゃくちゃ高い……ファッションブランドの店じゃ、ないんですか?!」
私は、目を大きく見開きながら、そして、動揺を隠せないまま、先輩の顔を見る。
さっきの言葉は嘘ですか……?!
“……えっ?俺、そんな高いとこじゃなくていいよ?あそこの服屋でいいでしょ?”
そんな……って……こっちの方=高級ファッションブランドの店の方を『そんな』という言葉を使って欲しい!!!!
「……えっ?あそこ、高いの?」
いやいや……!!
「あそこ、高いですよ!?」
「……携帯で見て、そこいいなって思って。ブラックカード渡して、マネージャーに頼んでたから知らなかったよ。」
いやいや!!待て待て!!!
お金の使い方が……御曹司でしょ!?
『ブラックカード』
『マネージャーに頼んだ。』
嘘でしょ……?!
「……本当にそこでいいんですね?」
「あぁ……行くよ。楓。」
承諾しちゃったぁー………!!
「はぁ〜〜〜〜」っと長いため息を吐きながら、私は先輩に付いて行きながら、店を目指した。
そして、私は、思った。
もう1回、時間を戻すか。
誰か嘘だと言ってくれ。
と。



