【side:???】
やっと会える。
僕の……いや、……俺の未来の彼女に──────。
と、いうか……俺さ、大学生なんだけど?
こんな服着なくてもさ。俺、教育実習生で忍びこめば良かったのにさ……?
何これ。
この制服。
父さんから頼まれて着た、ここの学校の制服。
妙に、サイズが合って、心の中、全部が気持ち悪いというか。
心地悪いというか。
『お父さんからのお、ね、が、いっ!』
最後の語尾さ、びっくりマークじゃなくて、ハートマークでしょ?
だんだんオネエ化して行っている父さんに言われた言葉。
『1日、高校生になって』と。
父さんからの言葉に、何それ。と思ったけど。
学校の名前を聞いてみると、確か、あの子が行くと言っていたところだった。
もう、行くと決めていたが、父さんの訳を聞いてみた。
『お父さんのねぇ、友達がぁ!そこの学校の注目を集めたいがらしく、1日教師・学生になる芸能人に募集をかけてたんだってぇ!お父さんの友達の学校は、芸能人の出身が多いぃところぉだし……頭良いところだからぁ………ねっ!』
まぁ良いだろう。
俺の母校でもあるし、あの子がいるんだから。
行くしかないだろうと決心した所以である。
と言うか、俺さ……芸能人だから、反対側の道で女の子たちが騒いでいるんだけど?
きっと、ファンだろうと思うけどさ………。
本当、最悪。
あの子が。
俺の一番目の味方になってくれたんだから。
─────────よし。行くか。
一歩踏み出し、学校の校舎に踏み入れていた。
******
「はぁっ……!はっ……!」
ハックションっ!!と大きな音が出た反動で、だら〜んと鼻水が出ていた。
それが、私のスッキリした気持ちを表わしていた。
そして………。
「痛っい………!」
その鼻水を出したおかげで、足をぶつけてしまいました。
痛いっ……!けど!…や、や、やっと出た……!
ずっと、私の鼻に紙撚りが入ってるみたいで、くすぐたかったし、出そうで出なかったから、良かった出て。
安心。安心。
でもねえ………鼻水何回出てくるのよ……!!
行くときにも大きい音で鼻水や鼻糞が出たし。
(汚くてすいません……。by作者)
今日はなんか、鼻水いっぱい出る日なのかな……?
あっ、あと、足をいっぱいぶつける日?
と思ったとき、頭の中で何かを感じた。これを勘と感じたことは確か。
もしかして、今日は星座最下位とか………!?
携帯で、いつも見ているネット『星座ランキング☆』を調べてみて、タップすると。
最下位は………!
私の星座だった。
嘘ぉ………!?
あんぐり。勘が当たるなんて、びっくり。
それが、心の中に染まりますこと……1分間。
・・・・。
沈黙が続くけど、最後にハッと乾いた笑いを取り、机に頬杖を立てる。
──────私って……幸せ寄りの不幸なJKだったりして。
独り言のように、ボソッと自分の席で呟く。
学校に着いて、自分の席を座って、最初の一言それですか?と思うけどさ。
この1ヶ月以上、恋しか考えてなかったからさ……。
だって、祐美、灯2人に質問攻めを何度受けたことか。
「本当にそうなのね!?」
「本当ね!!!」
なんて、私の机を祐美と灯、一緒に両手でバンッと大きい音を出しながら、大声で言うなんてさ。
……私は、芸能人か?
……この2人は意気投合すぎるだろっ!!
なんてツッコミの声を出すのを我慢しながら、質問を答えて行ったけどねぇ……?
灯と祐美の圧…凄すぎたよ……!
誰かに伝えたいです………私、秋風楓さんは。
と思いながら、窓の外の空に視界を移す。
今は、秋の季節だ。
学校の窓の外は、楓の木が赤く綺麗に葉に染まっていて、イチョウも綺麗だ。
空と楓、イチョウのタッグは最強すぎる。
写真で撮ると綺麗だし、目でも見ると綺麗だし。
──────だけどさ……夏は色々とありましたしねぇ……。
はぁっ〜。
秋が訪れる前のとき、芸能人と居たなんて、大親友たちだけの秘密だし。
ましてや、超が付くほどの人気芸能人、王政義數と………“同居”をしていたなんて。
灯と祐美が言うには、“同棲”らしいけど。
芸能人ね……女の子だったら、こんなことを言うだろう。
※あくまで、秋風楓の想像です。
「私、芸能人と恋、してみたいっ!」
「1日だけでいいから……芸能人を独占したいっ!」
などなど申してそうですねぇー……。
頭の中で想像していると、私は、誰かに心の中で話して行く。
……んー?経験者からしたら、そんなの、辛いだけですから。
芸能人と一般人の差を見………って、失礼致しました。
経験者の心の中での独り言です。
私の心・頭の中は分かっていなかった。
失恋しても、まだ、引きずっているのを。
後に私は灯に言われて、気づいたけれども。
……でもさ、きっと、『もしも芸能人と恋が叶うとしたら!』とかTVで出て来るけど、もちろん、金=賄賂とかで1日彼氏、彼女やってもらわなきゃいけないんだろうなと思っている。
芸能人の恋ってさ………不可能なのかもしれないんだよ。
君たちっ!
誰に言っているのかわからないまま、私は心の中で誰かに愚痴を聞いてもらっている風に話す。