気付かなかっただけで教室にはだいぶ熱気がこもっていたらしい。
廊下に出るとすうっと冷えた風がわたしの濡れた頬を撫でた。
ずっと鼻をすすると、寒がっていると思われたんだろう。
「いるか?」
「ううん、大丈夫」
ジャケットを脱ごうとしたアンドロイドを手で制し、わたしはずるずると座りこんだ。
そのまま手で顔を覆う。
「ああー……言っちゃった」
「そうだな」
「やっちゃった」
「そうだな」
「明日からわたし、ぼっち確定だ」
「そうだなぁ」
しみじみ言ってくれちゃって。
わたしはゆるゆるとアンドロイドを見上げる。
「最後……なんであんなこと言ったの」
あんなこと、とアンドロイドが言った。
「ロボット以下とか、勝手にやってろとか、みんなを煽るようなこと」
「あー……その場のノリ?」
「その場のノリで行動するアンドロイドがどこにいるの……」
「ここにいるだろ」
そうだ、ここにいた。
世界一アンドロイドらしくないアンドロイドが。



