アンドロイドは人間を攻撃できないようにプログラムされている。

基本的に人間に従順であるように作られている。

それが当たり前なのだ。

アンドロイドは人間の所有物なのだから。


そう、だから。

わたしが、わたしのものを守るのも当然でしょう?


はじめてふたりに反抗した。

わたしを、そしてわたしのアンドロイドを決めつけてばかりのナナちゃんと瑠衣ちゃんに。

そうして、目を逸らしてばかりいた自分自身に。




「ヤクザじゃない。────ノア。ノアっていう名前があるの」


わたしのことを馬鹿にするのはいい。

鈍くさくて、冴えなくて、へらへらしてばっかりなのは事実だから。

だから、いい。


だけど、



「何も知らないのに勝手なこと言わないで!これ以上アンドロイドを、わたしのアンドロイドを馬鹿にしないで……っ!」


感情が爆発した。

ああ、わたしの感情はまだ死にきっていなかったんだな。


“誰かの為”にここまで怒りや哀しみが込み上げてきたのは生まれて初めてだった。


まさかわたしが言い返すなんて展開は誰も予想していなかったんだろう。

さっきまでのひそひそ声も、もうなくなっていた。



そんな空間を最初に打ち破るのはやっぱり、彼女しかいないんだ。