「そのヤクザもヤクザよ」
急に矛先が変わった。わたしを刺すだけ刺して、もう刺せる場所はないと判断したらしい。
「人相も悪い、愛想も悪いなんて、アンドロイドとして終わってんじゃない。不良品でしょ、どう考えても」
ふつ、と体の奥底から沸きあがるこの気持ちはなんだろう。
「どうせ売れ残ってたか、どっかで拾ってきたんでしょ。こんなヤクザ、なんの役にも立たな──」
「……うるさい」
ゆっくりと顔をあげる。
うるさい、と。わたしはもう一度、低くうなるように言った。
って、いやいや。ちょっと待って、なに言ってるんだろう。
いますぐ笑わなきゃ。
そうだよね、ごめんねって謝らなきゃ。笑わなきゃ。
ひくりと頬が引きつったように持ちあがろうとする。脳がそうしろと指令を出している。
笑え、笑え笑え笑え……っ、
「────……わ、たしは。……わたしはっ、そうは思わないっ!!」



