あんたのせいだ、と恨めしそうに瑠衣ちゃんは言う。
「ナナをこんなにしたのは、あんたのせいだ!」
教室は怖いくらいに静まりかえっていた。
教室という空間でさえ息を潜めているように。
瑠衣ちゃんの絶叫だけが辺りを支配していた。
「あたしはッ、あたしは、ナナとふたりでよかったの!あんたなんか要らなかったのよ、はじめから!」
みんな人形になったんじゃないかってくらい、ぴくりとも身動きをしなかった。
だけどその目だけは爛々とわたしたちに向けられていて。
そのほとんどに好奇が宿っていた。
どうなるんだろう。仲間割れだ。違うよ、あれはただの糾弾だよ。だって藤白さんは──
「あんたを友だちだと思ったことなんて一回もない。鈍くさくて、冴えなくて、へらへらしてばっかりのあんたがずっと……ずっっと、うざかったんだよ!」
ぽろり、と目から涙がこぼれ落ちた。
とっさに下を向いたから、それはきっと誰にも気付かれなかった。
見せちゃだめだと思った。
弱っているところを、傷ついてるところを見せたら、もっとウザがられる。



