ブルー・ロマン・アイロニー



ひやりとするくらいに冷たくて硬い声。

声量があったわけじゃないのに、水を打ったように教室が一瞬で静まりかえった。


瑠衣ちゃんが信じられないようにナナちゃんを見つめている。

あれだけ以心伝心しあっていた彼女でさえびっくりしているのだから、わたしの心情なんていうまでもないだろう。



「アンドロイドに感情があるなんて、本気で思ってるの?」


そんなことないよ、と自分の口から出た言葉はひどく弱々しい。

本当にそう思っていないわけじゃなく、いきなりの展開に心がついていかなかった。



「だったらなんでそんなこと言うの?私は前までのあまりで居てほしかったな」


整った顔立ちを崩すこともなく、とうとうと言葉を連ねるナナちゃんに、背筋に冷たいものが走った。

怖い。はっきりとそう思った。


瑠衣ちゃんに思ったことはあっても、ナナちゃんに思ったことは初めてだった。