ブルー・ロマン・アイロニー



そのネイル可愛いじゃん。ほんと?今回のはお気に入りなんだぁ。今日の午後からの授業だるすぎ。現国の小笠原がだるいんだって。それはそう。3組でクラス全員からハブられてる子いるらしいよ。えそうなのやば。そんなのもういじめじゃんね。よかった、うちらのクラスは平和で。たしかに、いじめとかないもんね。ところでさ────


15歳と16歳しかいない空間での話題は、季節のようにはたはたと移ろい変わっていく。

こういうとき話題に出てくるのはポジティブな内容よりネガティブな内容が多いのはなんでなんだろう。



「瑠衣の好きなバンド、きのう新曲出したね」

「そうなの!あたしもう何十回も聴いちゃったよ」

「瑠衣とは音楽の趣味だけは合わないからなぁ」

「そもそもナナ、あんまりJPOPとか聴かないでしょ」


ナナちゃんと瑠衣ちゃんは小鳥のように肩を寄せ合って音楽の話をしていた。

ふたりはクラスメイトや他のクラスの子たちの悪口やネガティブな噂を話題にしない。

ただ単に興味がないだけなんだろうけれど、ふたりのそんなところはかっこいいなと思う。

澄んだ空間。そこだけがまるで別世界のようにキラキラしていて、瑞々しくて、美しい。