「おい、……なあ」
声をかけられる。
それでも無言でいると、布団越しの体に手を置かれた。
「なあ、ちょっとでいいから起き上がれねえか」
「……むり、からだ…、うごかない」
維持を張っているわけではなく本当に動かなかった。
力を入れようにも、脳と手足が切り離されてしまったかのように言うことを聞いてくれない。
「力入れなくていいから。起こすぞ」
最初からそのつもりだったらしい。
そう言うなり、アンドロイドはわたしの脇の下に腕を差し込んで、上半身を起こしてくれた。
その手つきからはいつもの粗雑さは感じられなかった。
「……これ」
起きあがったわたしは倦怠感に襲われながらも、サイドテーブルに置かれていたお粥が目についた。
ひかえめに湯気を立てるそれは、作られた直後ではないことは確かだった。



