ロボット工学、とくにアンドロイドの技術が飛躍的な発展を遂げたことで、アンドロイドの量産および販売が開始され、世界で普及されるようになったのは、まだわたしも生まれていない頃の話。


人間と見分けがつかないくらい、人間にそっくりなロボット──アンドロイド。


人間社会にアンドロイドを導入することに異を唱える人は一定数いたらしい。

だけど、人口減少に伴う人手不足が進み、なし崩し的にアンドロイドの実用化が実現されることになった。



そして現在、西暦20XX年。

人型人工知能ロボットがわたしたちの生活に介入することは当たり前となっていた。


多種多様な性能のアンドロイドが開発、販売されるなか、わたしたち国民も一家に一台、裕福な家庭では使用目的に合わせて数台、もはや日本人の8割はアンドロイドを所有していた。


今や学生でも自分専用アンドロイドを持っていて、もう半年近く通っているわたしの高校でも、アンドロイドの持ち込みを許可していたことから、ほとんどの生徒がそれを連れて登校していた。


そんなものよりスマホの持ち込みを正式に許可してくれたらいいのに。

同じ機械なのに、なんでかさばるアンドロイドがよくて、スマホがだめなんだろう。


おそらく、たいていの人はそうは思わないんだろう。

だってアンドロイドはスマホよりもずっと有能だから。高性能だから。


みんなそんなアンドロイドがあるから、不満はないんだ。