数字が浮かんでは消えていくだけの脳に、ぱっと隣にいるアンドロイドの顔が浮かんだ。
そうだ、わたしにはアンドロイドがある。
ちらりと助けを求めるように視線を投げかけた。
だけどアンドロイドは、わたしの存在なんて無視も無視。
黒板のほうを向いたまま、あくびをかみ殺すような顔をしている。
(ちょっと、ねえちょっと!)
穴があくほど見つめても、その穴は無限に掘れるかのように意味を成さない。とことん無視をされている。
あげくの果てには先生にそれすらも見咎められ、こってりとしぼられた。
わざわざ授業を中断させ、みんなの前でひとしきり怒られ。
ようやく授業が再開されたとき、わたしはすっかり消沈していた。
「……ポンコツアンドロイド」
懲りずにぼそりとつぶやく。
言わないとやってられなかったのだ。
「“自分のことは自分でする”んだろ」
その言葉に絶句する。
「さて、ポンコツはどっちだろうなぁ」
わたしのほうを見もせず、くく、と口角を吊り上げるアンドロイド。
この教室でひとり強烈な殺意を抱いたまま、授業は何事もなく終わった。



