「お客さん、お客さん?大丈夫?」 ミラー越しで運転手のおじさんが心配そうに覗きこんでくる。 わたしは何度もうなずきながら、涙をぬぐって。 すっかり日が落ちて星が瞬く夜空を見上げた。 「……運転手さん」 「はい?」 「『銀河鉄道の夜』って知ってますか?」