「いや、あんたはなにも悪くない。悪いのは全部あいつだ」

「べろべろばー」


ふたりってなんでこんなに相性が悪いんだろう。


ノアが滅多に怒らないから喧嘩になることはないけれど、どう考えてもルーカスくんのストレスは日々溜まっているような気がしてならない。


それにしてもノアは煽りすぎだ。

一周回ってルーカスくんのことが好きなんじゃないかってくらい突っかかっている。

そのことについて注意したら、「実験だよ、実験」と意味不明なことを言っていた。人でなにかの実験しようとするな。


駅に着いたので、わたしとルーカスくんは共に改札をくぐり抜けた。その後ろをノアもついてくる。


もちろんわたしたちのホームは別々。

「じゃあ、また明日ね」と言って別れようとしたときだった、ルーカスくんに呼び止められたのは。



「今度、どこかに出かけないか?」

「え……」

「……嫌だったら断っても──」


「い、行きたい!」


思わず食い気味で答えてしまったわたしは、はっと我に返って。

顔に熱が集中するのを感じながら言い直したのだった。



「ぜひ……行きたい、です」


期待しても、いいんだよね……?