「嫉妬?この俺が?」
は、とノアが息を吐き出した。
「冗談じゃねえ。んなわきゃねーだろ」
「じゃあなんでイライラしてたの、あの日」
「それはお前がはっきりしないから……」
「じゃあわたしとルーカスくんが付き合ったらノアは満足するの?」
「……それは、」
ノアが初めて言葉につまった。
なにかを言おうとして、すぐに口をつぐむ。
そのまま考えるように黙りこんでしまった。
人間の心と同じくらい複雑な電気回路を必死に整理しようとしているんだろう。
こうしてみると本当に人間と変わらない。
人間とアンドロイドって、じつはそこまで違いはないんじゃないのかな。
ノアを見ているとそう思ってしまう。
不思議だ。
こんなこと前までのわたしなら絶対に思わなかった。
「ごめんねノア」
アンドロイドに謝るなんて可笑しい?ありえない?
そうだね、可笑しいかも。
だけどノアはノアだ。
人間だからとかアンドロイドだからとか、そんなの今は関係ない。
わたしはノアというたったひとりの存在を傷つけた。
それに、変わりはないのだから。



