ブルー・ロマン・アイロニー



ノアがいなくなってはや1週間がたっていた。

どこにいるのかもわからなければ、この1週間一度も家に帰ってこなくて。

ノアは本当にいなくなったんだと。わたしに愛想を尽かして出ていったんだと自覚せざるを得なかった。



「……大丈夫、なんてことない」


元々、契約は永遠じゃなかったんだ。

あくまでも延長していただけだったし。

いつかいなくなることくらい、わたしにもちゃんとわかっていた。


……こんな形で終わるとは思ってなかったけど。



わたしは二度三度、頭をふった。


そういえばルーカスくんも今日は病院の日だっけ。

生まれつき気管支が弱いのか、かかりつけの病院で定期検診を受けるために、たまに午前中だけ休むことがあった。


ルーカスくんが日本に来た理由は知らないけれど、もしかしたらそういった事情が絡んでいるのかも。

それにしても日本の医療技術より、アメリカの医療技術のほうが進んでいると思うんだけどな。


何はともあれ今はルーカスくんの右隣も、そして……ノア、の左隣もぽっかりと穴があいている。

そのぽつんとした感じはまるで今のわたしの心の中を表しているようで、なんだか無性に悲しくなり。


お昼ご飯も、さっきもらったお菓子すらも食べることなく。わたしは机に顔を伏せた。