「……昨日のことなら、悪かった」

「え……」


顔をあげる。

ルーカスくんの表情の変化はわかりにくいけれど、なんだかいまは申し訳なさそうに眉が少し下がっているように見えた。



「あれは……段階を飛ばしすぎた」


ぎょっとする。段階を飛ばしすぎた?



「ゆっくり時間をかけて進めるべきだった」


さらにぎょっとする。進めるべきだった?



「気持ちばかりが先走ってしまって、混乱させてしまった。次からはもっと慎重にいこうと思う」


一方的にそう告げたルーカスくんは横をすり抜け、教室に入っていく。

取り残されたわたしの肩からずるりとバッグがずり落ちた。


……いまの報告、絶対わたしに言っていいやつじゃなかった。