「……ああ、なんでもない」

「気になる……!教えて……?私、奏くんのことならなんでも知りたいの……!」

「じゃあ逆に美都、教えてくれ」

「えっ?な、なにが……?」


私が、奏くんに教えることって……?


「アイツが好きじゃないんだろ……?じゃあ、誰が好きなんだ?」

「えっ……!?な、なんでそうなるの……!?」

「美都、お前は今恋してるだろ」

「へっ……!?」


な、なんで……!どうしてわかるのっ……!?


「だから、最近様子が変だったんだ……。一体、誰が美都をこんな風にしてしまったんだ?」

「そ、それはっ……」


奏くん、なのにっ……。


もどかしい気持ちを、無理やり押し込めた。


そして、精一杯作り物の笑みを浮かべる。


「それは、奏くんの勘違いだよ」


奏くんは、いつもの無表情で。

だけれど、学園いる時と同じように冷徹な時の顔だった。