数日後。

学園での皐月さんとの騒動も、奏くんが手を回してくれたようで、なかったかのように綺麗に話題もされなくなっていた。


そして……私は、指輪を選びたかったのですが……。


「美都、一人で出かけるのは禁止だ」


買い物に行きたい、そう言うと綺麗に奏くんに拒否されてしまったのだ。

今日は学園はもう終わり、今日ば奏くんもお仕事が早く切り上がった。


「そ、そこをなんとかっ……!」

「だめだ。絶対に許さない」

「お願い……!!」


奏くんのために下見に行くんだし!

誕生日明日だし、そろそろやばいよぉ……!


「美都……俺のお願い、聞いてくれないの……?」

「っ……!!」


ズキュンっ!と胸が射抜かれた気がした。

そんな、捨てられた子犬みたいなお顔……私、行きたくなくなっちゃうよ……!


もう、発注しようっ……。


「……奏くん」

「ん?」

「そんなに可愛いと、ぎゅうしちゃうから!!」


抱きしめたい衝動を我慢できずに、ぎゅっと奏くんを抱きしめた。