「感情こもった顔、初めて見た」


嘲笑うようにそう言う千秋に嫌気がさした。


「……美都様って、純粋だよな」

「お前……手出したら殺すからな」


惚れ込んでいるような顔しやがって……ムカつく。


「そんなことしない。俺はただ……あんな人間がいることに驚いてるだけだ」


それは正直俺も同感だ。

とても優しい、あんな女神のような人に会ったことがない。

元より、美都以外の人間と仕事関係以外で関わることがないからだが。


「……チッ……」

「そんなに怒るなよ、怖がられるぞ」

「うるせぇ」


本当、関わってくるな……。


コイツがボディーガードをやっているのだって認めていないのだし。


「……なぁ、日向遥希についてどれぐらい知っている」

「さぁな」

「物によっては金やるから、さっさと言え」

「買収すんのかよ」

「黙れ」


美都のことを、守る。

ただそれだけのことのためだ。


とても単純でわかりやすいこと。