これは、中等部の時のこと。


「おはよう、日向くん」

「花宮さん……おはよう」


美都ちゃんとは運良く、一年生の頃からずっとクラスが同じだった。


そして……僕は、一年生の頃はいわゆる隠キャというものだった。


日向家の人間としてもちろん勉強も運動も人よりもできた。


でもまぁ……俺は次男だから、家を継げる可能性なんてほぼないに等しくて。


いつしか、兄を目立たせるための土台みたいになってしまい、小学生高学年の頃ぐらいから家に引きこもっていた。


中等部になってからは……母親に、一度行ってみたらと言われて学園に行き出した。


メガネかけてるし、前髪も長いし……僕に話しかけてくれるヤツなんて、僕同様のヤツらぐらいだった。


あとはからかってきてるのか、優越感に浸っているのかの陽キャぐらいだ。


それと、あと1人。


「今日も予習してるの?偉いね!」

「そんなことないよ」


花宮さんだった。