「でも、なんでわたしの方がループすることになったのかな?」

「うーん……それは祖父さんに聞いてみないことには分かんねぇな……」

「それもそっか」

 考えても分からないことにお互い苦笑する。


 何か分からないかな? と思ってそのメッセージをタップしてアプリを開こうとしたけれど、あのアプリはスマホの中からキレイサッパリ消えていた。

「これって……終わったってことかな?」

「だと思うぜ?」

 答えた新は自分の鞄を手に立ち上がる。

 そしてわたしにもう片方の手を差し出した。


「帰ろうぜ……俺の彼女さん」

 はにかむ新に、わたしも照れながら返す。

「うん、帰ろう。……わたしの彼氏さん」

 手を取って、そのまま手を繋いでドアの前に行く。


 本当に終わったのか。

 緊張するわたしの手をゆっくり引いて、新が先に保健室を出た。

 わたしは一度ゆっくり深呼吸してから、境界線を越える。


 霞は、出てこない。

 そのまま歩いて、角を曲がっても何事もなくて……。

 生徒玄関で靴を履き替え外に出て、やっとわたしは本当に終わったんだと実感できた。


「大丈夫だな?」
「うん!」

 安心して、わたしたちは世界がオレンジに染まる中、手を繋いで帰路についた。