「じゃあ、次行くね」
「ああ。早く終わらせて帰ろうな」
ちょっと変わった別れの挨拶に変な感じ、と苦笑する。
そして保健室から出て霞に包まれながら、わたしはふと思った。
新と一緒は嬉しいけれど、“今”の新とはお別れなんだな……と。
それは少し……寂しいと思った。
……そして6回目。
ループしていることを伝えて、イヤホンをづけてさっき新自身が録音した音声を聞いてもらう。
聞いてもらう前に新のスマホを確認してもらったけれど、やっぱりそっちには録音データがなかった。
前の新の言う通り、彼はループしてないからスマホのデータも元に戻っちゃったってことなのかもしれない。
「どうかな? 信じてくれる?」
聞き終えてイヤホンを耳から外した新に恐る恐る聞いてみた。
今までも大丈夫だったし、新なら信じてくれると思うんだけど……やっぱり毎回ちょっと不安になるから。
「……ああ、信じるよ」
その言葉にホッとしつつ、そのまま黙り込んでしまった新を不思議に思う。
「どうしたの? 何か分からないことある?」
「あ、いや……そのアプリ見せてもらって良いか?」
「え? うん」
スマホを返されたので、わたしは言われるままにアプリを開いた。
6/10の数字と、施錠中の文字。
「一応確認させてくれ」



