ホワイト・ターン・オレンジ〜夕日色の白い部屋で幼なじみと甘いひととき〜

 二人で笑いながら、まずは新が先に出る。

 つないだままでいてくれた手を軽く引かれた。


 大丈夫。

 そう言われているような気がして、わたしは境界線を越えて――。

 落胆する羽目になった。


 目の前が霞がかって、ああまたか。と思う。


 温かい新の手が鞄の取っ手にいつの間にか変わる。

 何度か瞬きをしていると、また新の背中はなく保健室のドアが目の前に見えた。


「……分かってる。こうなるだろうなとは思ってた」

 呟いて、落胆した心を無理やり浮上させる。

 落ち込んでばかりもいられない。
 さっき新に言われたことを試してみなきゃ。

 新が信じてくれたことで、少し勇気が湧いたみたいだった。

 わたしは保健室のドアを開けず生徒玄関の方へ向かう。

 このまま帰れればもうループはしないんじゃないかと予測して。


 とりあえず四角いオレンジで彩られた廊下は進むことが出来た。

 これなら大丈夫かもと期待して、新に連絡しなきゃとスマホを取り出す。


 ロック画面を解除して、見慣れないアプリアイコンに目が留まる。

 そうだ、これ今はどうなってるんだろう?

 そう疑問に思って新に連絡する前にアプリをタップしてみた。


「……あれ? 数字が変わってる」

 4/10だった数字が5/10になっている。