【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。

「よーし! そうと決まったらこっちに来て」

 と長谷川さんの近くにいたスタイリストの女性が私の腕を引く。

 え? え? と、目を白黒させながらついて行くと、大きな鏡の前に座らされた。

「まさかYu-toくんが女の子を連れてくるとはねぇ……女の子苦手だって言っていたのに」

 後ろから私の肩に手を置いたスタイリストさん。
 鏡に映った彼女の顔は、ちょっと引いてしまうくらいニマニマしていた。

「あ、あの……」

「これはもう応援したくなっちゃうでしょう! 任せて、とびきり可愛くしてあげるから!」

「は、はい……」

 押しの強いスタイリストさんに、私は言葉が続かない。


 その後はもうされるがままで、私は彼女のお人形と化した。

***

 うっわぁ……ドキドキする。


 メイクやヘアセットをしてもらった私は、すでに撮影が再開されている現場の隅の方で待機していた。

 暗がりから村城くんの撮影を見ながら、私も今からあそこに立つのか……と少し緊張してくる。


 私は雑誌に載るわけでもないし、ただの記念写真みたいなものだって分かっているけれど……それでもやっぱり緊張はする。


「よし、そのままであと数枚」

 長谷川さんがそう言って、カシャカシャと連続でシャッターを切る。

 そうして撮れたものを確認すると、「OKだ」と撮影終了の言葉を口にした。