「それで、その人のお家も犬を飼ってて、日本スピッツって子がいるんだって」

「スピッツ⁉」



犬種を口にした途端、細まっていた目が真ん丸に。



「知ってるの?」

「もちろん! おじいちゃんが子どもの頃にすごく人気だったんだよ。雪みたいに真っ白でふわふわしてて、目はクリクリで可愛かったなぁ」



再び目を細めて懐かしんでいる。
ここまで激しく反応するとは。世代ドンピシャだったみたい。



「前にも話したが、家族みんな動物大好きだったから、何度もおねだりしてねぇ」

「へぇ、それで飼えたの?」

「あぁ。弟が生まれた後にお迎えしたよ。無駄吠えが多いと聞いてたから、静かな子になりますようにと名付けて……」



静かな子……そして雪みたいに真っ白……。



「もしかして……シズユキのこと?」

「そうだよ。ありゃ、話してなかったかね」



えええー! あの子スピッツだったの⁉
言われてみれば、全身ふさふさしてたし、白っぽかったし、特徴は似てた。

でも、性格は……。



「まぁ、名前とは正反対に育ってしまったけどな」