8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3

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『アイラ、重たいよう』

 リーフェは、背中に抱き着いて泣いているアイラを尻尾でたたく。しかしアイラはお構いなしだ。ぎゅうぎゅうに抱き着いて、リーフェの背中の毛を濡らしていく。

「オリバーのバカバカ!」
『そんなのオリバーに言いなよう』
「言えないからリーフェに言っているんでしょ!」

 アイラは相変わらず理不尽で、リーフェは困ってしまう。
 だけど、後でちゃんと謝ってくることを経験で知っている。勢いでたたいた後、泣きながらその部分を撫でているのも。
 感情に素直ではあるけれど、アイラもやっぱり優しい子なのだ。

「オリバー。本当に私のこと嫌になっちゃったのかな」
『私はオリバーじゃないから知らない』
「もう!そこは嘘でも、『そんなことないよ』って慰めるところだよ!」
『人間の都合なんて知らないよう』

 まったく実にならない話し合いだが、アイラは口に出していくだけですっきりするのか、先ほどよりは、少し落ち着いてきていた。
 ようやく話を聞く気になったようなので、リーフェは口を挟む。

『そんなに心配なら、フィオナに聞いてみれば? ママなんだし』
「お母様に相談して、今こうなってるんだもん。ちょっと言いづらいよ、心配かけちゃう」
『心配かけてもいいんだよ。ママなんだもん』
「リーフェってお母様のこと好きだよね」
『だってママって、困ったときに助けてくれるものでしょ?』

 当たり前のように返され、アイラは鼻をすすりながら考える。