8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3

「オリバーにだって、秘密にしたいことくらいはあるんじゃないかしら。何でもさらけ出さなくなったのは、少し大人になったってことよ」

 フィオナがあまりにも普通に受け入れることが、アイラには納得できない。

「大人に? じゃあ、大人になったら、私、オリバーのことわからなくなっちゃうの?」
「アイラ、理解することはすべてを暴くことじゃないわ」
「よくわからない」

 アイラは自分の気持ちを整理できない。ただ、今までずっと一緒で、なんでもわかっていると思っていたオリバーが、急に遠くの人になってしまったようで悲しい。
 首を振るアイラに、フィオナはため息をついた。

「アイラは、オリバーのことどう思っているの?」
「どうって、好きだよ。弟だもん。でもちょっとだけイライラする。どうしてって思うことがたくさんある」
「そうね。気持ちを一言で言い表せないくらい、あなたも大人になったの。オリバーもきっとそう。今はまだ、気持ちの整理をしている段階なのかもしれないわ。自分から言い出すまで待ってあげたらどう?」

 アイラはフィオナに頬を撫でられ、なんだか切なくなってきた。

「でも……」
「アイラに教えていないことがあるからと言って、アイラのことを嫌いになったわけじゃないでしょう?」
「そうだけど……」

 どうにも納得がいっていないアイラに、フィオナはため息をつく。

「どうしても気になるなら、自分の思うようにやってみなさい」
「お母様」
「あなたは気持ちを隠すのに向いていないわ。そんなにそわそわしていたら、オリバーもあなたの変化に気づくでしょう。その前に、アイラの本当に聞きたいことを聞いてごらんなさい」
「……うん」

 母親の優しい手に、少しだけ勇気をもらって、アイラは頷いた。

* * *

 オリバーはぼーっと、チャドがひとり遊びに興じているさまを眺めていた。
 部屋の扉がノックされ、「誰?」と問いかけるとアイラの声がする。

「私、アイラ。入っていい?」
「え、あ……」

 アイラが返事を待たずに扉を開けたので、オリバーは動揺してしまう。慌ててチャドのいるあたりを背中で隠す。

「うわっ、な、なに、アイラ」
「入っていい?」

 神妙な顔のアイラに、オリバーはぎくりとする。

「いや、今は、その」
「……やっぱり、なにか隠しているでしょう」