8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3

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 アイラは数日、オリバーを見張っていた。
 でも、オリバーは特に変な動きはしない。気になることといえば、オリバーが自分の部屋に食べ物を持ち込んでいるところを目撃したくらいだ。

(オリバーはそんなに食いしん坊じゃないし、なにか部屋に隠しているかな……)

 オリバーの部屋の扉に、耳を押し付ける。盗み聞きなんてお行儀がよろしくないとは思うが、気になってじっとしていられない。

『……だろう』

 聞こえてきたのは、ドルフの声だ。

(まったくもう、ドルフはお母様の聖獣なのに、オリバーとばっかり仲がいいんだから)

 あまりにドルフとオリバーが仲良しなので、アイラはたまに、オリバーを取られたような気分になってしまう。

 会話はまだ続いていた。

「でもずいぶん動き回れるようにはなったよ」
『そうなのか? 俺の前では寝たふりばかりしているが』

 どうやら、オリバーの隠し事には、ドルフも一枚かんでいるらしい。
ドルフがかかわっているということは、オリバーの夜の散歩がらみだろう。アイラはいつも、一緒に連れていってほしいと思っているのに、リーフェが人を乗せたがらないからついていけない。

(私もリーフェを巻き込むべきかなぁ……。頼み込めば、一回くらいは乗せて飛んでくれるかもしれないし)
『……アイラには言わなくていいのか?』

 考え込んでいるうちに、会話に自分の名前が出てきて、アイラは焦る。

「うん。もうちょっと……僕だけで面倒見るよ」
『何を考えているんだ、オリバー』
(え、なに? もしかして、わざと内緒にしているの?)