オリバーとアイラは顔を見合わせ、少し泣いた。ドルフとリーチェが慰めるように傍にいてくれたので、救われたような気持ちになる。

『さあ、帰るぞ』
「うん」

 ほかの人間は誰もオリバー達の不在に気づいていなかったようだが、フィオナだけは違った。

「ドルフたちもいなかったから、きっと一緒だろうとは思ったのだけど」

 と言いつつ、勝手に出かけたことをしこたま怒られた。
 それでも、オリバーはなんだかくすぐったい気持ちになる。愛されているからこそ、叱られるのだ。それが今ならば、よくわかる。

 オリバーは手の中の白い石をぎゅっと握りしめ、誓った。この国を、土地を、よりよく生かしていくのだ。それが、王の子として生まれたオリバーにできることだから。