『いかん、グロリア!』
周囲に、ひときわ大きな悲鳴が響く。
隕石は、チャドが動くよりも早く、地面へと激突した。地面が砕けちり、破片が周囲に飛び散る。ぶつかった際の衝撃波が全体に広がり、それによって周囲の人々がみな吹き飛ばされる。ひとたまりもない、とはこのことだ。あっという間に、クレーターが出来上がり、周囲はがれきだらけの廃墟と化す。
『グロリアー!!』
そこには、多くの人間がいたはずだ。少なく見積もっても、数百人はいる。それが一瞬で消えたのだ。残された家屋も炎に包まれていて、生き残りを捜すのは難しいと思えた。
『嘘だ。……嘘だ!』
チャドはグロリアを探し回った。まだ燃えている火の中に入るのもいとわずに。
しかし、チャドは、グロリアの遺体すら見つけられなかったのだ。
『……グロリア、どこだ。グロリア……!!』
チャドはその日。この土地全体に加護を与えた。今だ見つからないグロリアの屍が荒らされることのないよう、この一帯に土で蓋をし、岩場に作り替えた。
『せめてお前が安らかに眠れるように』
チャドはずっと力を注ぎ続けた。六百年。それは、チャドが聖獣としての力をほぼ使い切るほどの長い年月だ。大きな体は維持できなくなり、今や手のひらに乗るほど小さなネズミの姿となった。なけなしの力で地面を揺らすことで、必死にこの地を脅かすものに抵抗してきた──



