8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3


『いかん、グロリア!』

 周囲に、ひときわ大きな悲鳴が響く。
 隕石は、チャドが動くよりも早く、地面へと激突した。地面が砕けちり、破片が周囲に飛び散る。ぶつかった際の衝撃波が全体に広がり、それによって周囲の人々がみな吹き飛ばされる。ひとたまりもない、とはこのことだ。あっという間に、クレーターが出来上がり、周囲はがれきだらけの廃墟と化す。

『グロリアー!!』

 そこには、多くの人間がいたはずだ。少なく見積もっても、数百人はいる。それが一瞬で消えたのだ。残された家屋も炎に包まれていて、生き残りを捜すのは難しいと思えた。

『嘘だ。……嘘だ!』

 チャドはグロリアを探し回った。まだ燃えている火の中に入るのもいとわずに。
 しかし、チャドは、グロリアの遺体すら見つけられなかったのだ。

『……グロリア、どこだ。グロリア……!!』

 チャドはその日。この土地全体に加護を与えた。今だ見つからないグロリアの屍が荒らされることのないよう、この一帯に土で蓋をし、岩場に作り替えた。

『せめてお前が安らかに眠れるように』

 チャドはずっと力を注ぎ続けた。六百年。それは、チャドが聖獣としての力をほぼ使い切るほどの長い年月だ。大きな体は維持できなくなり、今や手のひらに乗るほど小さなネズミの姿となった。なけなしの力で地面を揺らすことで、必死にこの地を脅かすものに抵抗してきた──