「あらぁ〜!いらっしゃぁ〜い!……灯ーー!来たわよーーー!!」


ピンポーンとインターホンを押して、私は待っていると。
扉を開けて、灯のお母さんがニコニコ笑顔で私を見て、灯を呼んでいるではないか。

まぁ。灯様の家族全員大歓迎。ということで。


「かーーえーーでーー!!いらっしゃっぁあああいい!!」
と私の名前を大声で言いながら、階段を降りてくる灯。



これから。居候させていただきます。灯。



と心の中でお辞儀をしながら、私は靴を脱ぎ、灯の家に上がっていた。
部屋のことも灯のお母さんに教えてもらい、灯の家で夜ご飯を食べて、ひと段落していたときだった。


「あのさー楓!祐美、呼んでも良い?」

と灯はニコニコしながら、私を見る。

ニコニコというよりは、興奮だよね………?
と思いながら、灯を見ながら、

「うんっ!良いよ?」
と言いながら、人差し指と親指で丸を作り、OK!を示したら。

灯は、ぱぁあああの効果音でお馴染みの嬉しさ満点のオーラで私を見て、
「ありがとう!……じゃあ、呼んでくるね!」と言いながら、瞬間移動かって言うぐらいにもう、扉を開けていた。


私はその光景を口をポカンと開けながら見ていたのだった。


荷解きをしようと思ったが、今はやめよう。
夜にやるとキリが無くなる。


私の部屋は3階だ。
灯のお母さんに、「部屋は3階にあるわ。思う存分使ってね!」と言われたからだ。私は、服や教科書などとかが入っている段ボールは?と聞いてみたが、置いてあるらしい。………現に、灯の家は一軒家の3階建てで、家が超広い!!
そのことを灯のお母さんに言うと、「掃除するのが毎週、大変よ!」と愚痴を呟いていた。


まぁ確かに。


広いもん。3階も。2階も。1階も。

2階は灯のお母さん、お父さんの仕事部屋と寝室がある。…そして、1階はリビングやTVが置いてある。
で、3階が私と灯の勉強部屋&寝室。


もう何から何まで、感謝しかない。


私はリビングの椅子に座りながら、灯を待っていたら、

「楓ちゃん」
と灯のお母さんが私の名前を呼ぶ。


「はいっ?」

「灯と友達になってくれてありがとう。楓ちゃん」
「えっ?な、なんで……今更なんですか?」

「いや……夜ご飯を食べていたとき、灯はすごく楽しそうで、嬉しそうだったから」
「フフッ……!」とくすくすと笑いながら、私を見る、灯のお母さん。

「いえっ!私も中学のとき、救われましたし!」

「もうっ……なんて良い子なのかしらぁ〜!」

「いえいえ……!」
私は少しだけ苦笑いしながら、灯のお母さんを見ていた。

……お母さん…か。

私はいなかったなぁ……。

お母さんとお父さんは、病気を患っていたから、小さい頃に亡くなった。
…だから、おじいちゃんが、引き取ってくれた。

私は、写真でしか見たことはないけど、「お母さんとお父さんの血をちゃんと受け継いでいるわね!」なんて、近所の人から言われたりしていた。

ううんっ!そんなことは…考えない!考えない!
と私は、思いながら、首を右、左に振る。

それを見ていたのか、灯のお母さんが。

「……大丈夫?……あっ。もしかして……気に障っちゃったかしら?」
「いえっ。大丈夫です…!」
「良かったわ。………というか!あの、国民的俳優の王政義數様と同棲していたのは…事実なの!?」

えっ……?!
灯のお母さんも気になるって………どれだけ、すごいの…王政義數は。

スラッとした背で、ガタイも良く、綺麗なお顔立ちで、目があったら、すぐ、気絶するだろう。頭もきっと良いだろうし、運動神経もあの体だったら、良いだろう。

って……何、私、王政義數のこと考えてんの……?!


「あらぁ〜?楓ちゃん、もしかしてぇ……王「いえいえ違いますっ!!!」

灯のお母さん、ニヤニヤしてたし、灯のお母さんの声を大声で遮らなきゃダメというか、私の頭混乱し出すし。


やばい。やばい。危ないところだったぁ……。

は、話を変えよう。



「ま、まだですかね………?灯。」
私は玄関のドアを見ながら、言い終わったとき!

ピンポーン。ピンポーン。

「あ、来ましたね!!」
と言い、「私、出ますね!」なんて言いながら、灯の家の扉を開ける。


その私が焦り(楓、気づいていない)の姿を見ていた灯のお母さんは……「フフフッ。本当に、王政義數のことが……、」


「好きなのね」


と言いながら、少し、笑いを堪えていながら、私と灯と祐美が会う姿をーーーーーーーーーーーー


ガチャッ。そんな音とともに、灯の顔、祐美の顔へと私の視界は捉えて行く。


ーーーーーーーーーーー灯のお母さんは捉えていた。


「やっほぉ〜。か・え・でぇ〜〜〜!!」

両手を私にきゃあきゃあと言いながら、大きく振る。
私と祐美はママ友か。と思いながら、苦笑いし、祐美を迎える。


「あらぁ!祐美ちゃん、いらっしゃぁ〜い!」
灯のお母さんも、祐美の存在に気づいたのか、嬉しそうに祐美に声を届ける。

「久しぶりですぅ〜!灯ママ!」

スナックか。と心の中で芸人のツッコミみたいにツッコむ。


「私は、下の階にいるから、灯の部屋で喋ってらっしゃい!!」と言いながら、皿拭きをしている灯ママ。

やべ。移った。
祐美のスナックみたいに言うのが。

「では。行って参ります!我が母よ!」

「何?私の娘は、まだ、厨二病?」

「いえっ!……じゃあ行ってくるね!」

「行ってらっしゃい!」
と言いながら、私と灯、祐美が階段を上る姿を見送っていた。