今は、人気の無いところに王政さんといる。
うーん。気まずい。……何を話せば「おい。楓」
「はいっ。何でしょう?」
「結婚破棄とは?」
「あぁー……はい。えーとですねっ。私と結婚破棄をしてくれないかと思いまして。」
「どういう経緯で至った」
「私は、おじいちゃんから決められた婚約者と結婚しろ。と言われました。だけど、私は好きな人と結婚したいな。と思いまして。……王政さんは好きですよ?!だけど、結婚したいほどではないというか。…2人とも噛み合わないんじゃないかな〜とも思ってもいまして。」
理由を言っていると、だんだん自分の胸がすごくキューッと締まって来る。
苦しいのか。悲しいのか。
分からない感情で胸は締まる。
一理あるけど、ほとんどが違うって自分でも分かってる。
だって、芸能人と一般人。
どれだけの差があると思ってる?
だって、これも、おじいちゃんがきっと巡らせてくれたんでしょ?
自分の努力じゃない。
だからですよ。王政さん。魔王様。
と思いながら、王政さんを見る。
「……経緯は分かったが。」
「良かったです。」
私は、少しだけ心の中でホッと安心する。
「お前、何で、魔王様から王政さんになってんの?」
「……いや、結婚破棄したので。」
「普通に言うなよ」
「もう。他人かなと思いまして」
「お前……本当に……結婚破棄したいのか?」
あぁ。これを初恋と言うのだろうか?
いや、兵雅が初恋でしょ。と思うけど。
あれは、自分では初恋とは言えない気がするけどね。
だから、王政さんが……初恋かも。
なんて、考えてないで。
最後のお別れ、言わなきゃ。
「では、王政さん。どこかで」
にっこりと営業スマイルで笑う私は、どこか心の中で切なさがあったのだった。
「待て」
「……いやと言ったら?」
「キスする」
……っ!?
私は目を見開きながら、王政さんを見る。
「楓。俺のこと異性として好きか?」
「好きと嫌い2択ですか?」
「あぁ」
「今は……きっと、嫌いだと思います…ではっ」
と言いながら、私は……心の中の棒がボキッと折れながら、教室へ戻って行った。
あぁ。最後のお別れの言葉。さっきのになっちゃった。
何でだろう。
この恋は叶わないっていつから思っていたんだろう?
もしかして、最初から?
なんて。
というか、お家どうしよう!?
うーん。祐美か灯に頼んでみるか。
と思いながら、教室の扉を開けて、私はメイドの仕事を全うしていた。
私の恋の花は枯れた。
私の手によって。