「可愛い。その変な声も唆る」
「はいっ?」
えっ?何?どういうこと?
私は頭の中が混乱しながら、私を呼んだ男の人を見る。
その男の人は、私に近づきながら、私が逃げられないように、両手を窓の下の壁を付ける。
この文化祭、最悪なことがある。
廊下が人で 犇めいているのだ。…だから、廊下の壁側に居れば、人の混雑はまぁ免れる。
それを男の人は分かっていたかのように、口角を上げる。
「あ、あの……?」
「何?なんか聞きたいの?」
「いや……あの…何で、私が捕まってるんですか?」
「えっ?何、捕まりたいから捕まったんじゃないの?」
「違います!!」
「へ〜そっか?俺、そういうコも好きだけど?」
そう言いながら、私が着ているメイド服のスカートを、男の人がいやらしい手で触る。
それを私は視界で捉えていたから、鳥肌が体中に立つ。
やばい。やばい男の人に捕まった。
ど、どうしよう……!!
「ねえ……人気が無いところで……気持ちイイコトしない?」
「し、しません」
「へ〜?じゃあ、無理やりやるから」
「へっ?!」
「いやだっつても助け求められないところ行こっか」
「えっ……?」
「行こうっ」
そう言いながら、私の腕を強く掴んで、廊下を歩こうとする。
この男の人……怖い。
私の携帯は……って無いんだった…!!
と思いながら、私は廊下から、自分のクラスの教室を見る。
やばい。どうしよう。
本当にどうしよう……!!!
「こういうコ初めて見た」
「……やめてくださいっ…」
「やめないから」
「お゛い゛」
……!?
私は声がした方へ視界を向ける。
男の人も声がした方へすぐ視界を向ける。
「……本物の王政義數…」
なんて口を少しだけ開けながら、王政さんを見ている私を連れ去ろうとしている男の人。
……何で?
「お前、何してくれた?」
と言いながら、私と男の人がいる方へ歩いて行く、王政さん。
その歩いて行く足が、床に足跡が付きそうなほどの踏み方だった。
その魔王様のドス黒いオーラで、文化祭に来ている人たちは廊下の端の壁の方に佇む。
何で?
何で?
何で、いるの?……魔王様?
「な、な、なんで……いるんだ「とりあえず、その子の腕を離せ」
キッと男の人の方へ睨みながら、男の人の言うことを遮る王政さん。
その睨みが怖すぎた。…口を慎むほどだ。
「お、俺は…このメイドちゃんと一緒にデートしようって約束してたんだ」
と男の人が言いながら、少しだけ焦りが見られる。
えっ!?……で、デート!?
と思いながら、ギョッとした目で私は男の人を見る。
それを見ていたのか、魔王様は口角を上げ、
「ほぉ〜?お前が俺専用のメイドとデート?」
と言っていた。
その魔王様の口角の上げ方がドス黒いオーラで。
私もブルブルと腕などが震えていた。
いや、ちょっと待て待て。
「おい。このメイドちゃんが国民的俳優専用のメイドぉ?!」
と大声で言う男の人。



