私は、「お前はちょっとしてから行け。」と魔王様から伝言をもらったので。
ずっと廊下で立ち止まっていた。
だけど、魔王様が去るとき。
魔王様は私に言った。
「お前、顔真っ赤」
と私の耳だけに聞こえる声で。
「はっ!?」
私はすぐに両手で顔を隠して。
「……というか、私をお前って……「楓っつたから……!」
『楓』の言葉を強調して来てもいるし、
なぜか少しだけツンデレぽく言ってくる、魔王様。
「はい。」
私はそれしか言えなかった。
だって、私は顔を隠しているから。
また、魔王様の顔が見えなくて。
けど、そんなことを気にしていたとき。
灯との“約束”のことが私の頭の中で過った。
『秘密……なの?』
『うん!いくら…楓でも…ねー!!もーー!!』
なんか、灯探偵さんが悔しそうだったときのこと。
私と灯一同は、階段を駆け下って、
1ーDの教室に向かって行っていたときのことも。
私の頭の中に一瞬にして、過ったのだ。
「魔王様。」
私は魔王様を呼び止める。
「何?」
「ニヤニヤが漏れてますよ?魔王様?」なんて、心の中で言っておこうっと。
そのことを自分の胸に閉まって。
魔王様に聞くことがあった。
「あの、怜さんって……?」
そう。怜さんがいるか、いないか聞きたかったのだ。
「いるぞ。…怜!」
魔王様が大声で怜さんを呼び出すと。
スッと、一瞬にして、魔王様の隣に現れて。
「お呼びでしょうか?義數様」
怜さんは、最初に礼をして、少し低めに魔王様の話を聞こうとする。
ある意味、殺人鬼や泥棒になれそうな、怜さん。
「……楓が呼んだから、呼んだ」
ムスッとした顔で魔王様は怜さんの顔を見ている。
……なんで、ムスッとした顔?
なんて、不思議に心の中で疑問感を抱く私。
だけど、それより……!!
早く“約束”のこと、怜さんに話したいし!
「……あの!怜さん!」
「はい。どうされましたか?楓様」
魔王様の顔を見ていたかと思えば、すぐに、私の顔を見て。
「あの………私の執事になってください!!」
「「はっ?」」
何故か、二重になっている声。
1つは怜さんの声で。
何故か、もう1つの声は、魔王様だった。
そう。
私が何故、怜さんに、
「執事になってください!!」
と言ったのか。
それは。
昨日、灯と昼休憩をしたところまで、戻る。