もう、見るからに分かる、魔王様の顔は。
にやあと口角を大きく上げ、私を見ている。
その顔と目線は、私の視界に映し取っていた………。
そして、私は、すぐに感知した。
……「もう。逃げれない!!」と。
なんか、ゲームの選択場面で、『逃げる』の文字をAか、○ボタンを押したら………!!
『コウソクグデシバラレテイルカラニゲレナイ!!』
とか文字が表示されるところに出そうだけどさ。
うん。
逃げるって言う選択を、何回も自分の手で全力で、押してるのに。
『ニゲレナイ!』
って頭の中に響くのが。
もう。無理だと、私が諦めている証拠なのかもしれない。
だって、魔王様の顔や、オーラで、私の体、全体、縛られている気がして。
「なんで、止まってるのかな?楓?」
にやあと笑ってる顔は。
もう、私の心境は分かってそうな顔で。
私は、ムカムカなのか。キュンキュンなのかも分からずに。
なぜか、少しだけ。
怒りと、嬉しさが半分、半分あった。
「……なんででしょうね……?」
私は魔王様を下から見ながら、口をニコッと、上げるけど、本当は口が引き攣っていながら言っていた。
もう。分かってるでしょ?魔王様は?
オーラで、魔王様に押すけど。
「なんでかな〜?」
……って、魔王様は、演技をしながら言っていて。
こういうとき、俳優ってずるいよね?
そう思いません!?
私は内心、焦りもあって。
怒りもありながらも、魔王様を見ると。
「……やっとさ、メイド服見れたのに〜?俺の言うことが……きげね゛え゛の゛か゛〜〜?」
やばい。やばい。
私が、怒った顔で見たけど。
魔王様の怒った顔は。
もう。怖いです。
怜さんが食事のときとかで怒ったときの鬼神の顔以上じゃありやせんか!?
魔王様!!
みなさん!分かりません!?
本当の魔王様って………!!
「……どうすれば良いですか…?」
私は無意識でやる、上目遣いで見ると。
もう。分かんないです……!
私は少しだけ、涙が瞳から出ている。
「……あー。見せたくねえな゛?馬鹿子犬のか、お。
…絶対、俺以外の男見るな」
…って魔王様は、言いながら、私の頭を胸にくっつけさして。
……っ!!
……また。鳴った。
この高鳴りは。
兵雅と違う、胸の音、心音。
そして、魔王様の声も。匂いも。
私の体が敏感に反応して。
私は顔、耳を真っ赤にさして、魔王様に見せないように。
自分の視界に魔王様が入らないように。
やっているのに。
……魔王様は、顔を赤くしていて。
それが分かったのは。
怜さんが、クスクスと笑いを堪えながら、
「何、義數様が……顔を真っ赤にして…「言うなっ……」
と魔王様が顔のことを遮っていて。
「……真っ赤?」
私は真っ赤になっていた、顔と耳を治ったので、魔王様を見ると。
本当に魔王様のお顔は。
綺麗な夕日みたいな色で。
真っ赤に染まって行っていた。
私と魔王様と怜さんを見ていた人たちは。
みんな息が一瞬というか、3分間だけ止まったような気がしていて。
口もポカンと開けて。
だけど、唯一、口もポカンと開けずに。
息も止まったような実感をしていなかったのは。
「……はぁ〜。こりゃあ、思ったより、やばかった……!」
私のあとを付いて来た、灯と。
「確かに。灯の言った通りだね……!」
祐美の、私の友達(親友)2人だった。