「……い」


ん……?



「……い」



「おい!!!!!」

さっき聞いた声が、大声で響く。



「ん……?」
私は目を少しずつ開けると……


上から、執事さんと、王政さんが見上げて来る。
私は、どうやら、カーペットの上で、寝ていたらしい。



「お前なぁ…?よく、布団掛けなしで風邪引かないな?……そして、無防備すぎだろ」


「へっ……?」


「さっきまで、眠ってたんだったぞ?」

「……はぁ。」
私は、何が何やら、分からない状況なので、「はぁ」と言わざるおえない。


「……はぁ〜…怜…出せ。」

クイっと首を後ろに一瞬引っ張って、何か出そうとして来る、王政さん。


執事さんが持って来たものは………


少し小さく、黒いスーツケースだった。




???



「これで、俺の婚約を破棄してくれるだろう」


はっ?


「なんという顔をしている。……お前、これだけじゃ足りないのか?この、馬鹿子犬が」



ちょっ!!!

「それは失礼でしょ!!」


「はぁ〜……何もかも分かっていないような顔をしているな?」

と言っていた王政さん。
私は全くその通り!と思いながら、首を縦にいっぱいに振る。




「……俺が、正志ジジィに言われた、婚約相手だよ。」






「はぁああああ!?」




「んで、これで、婚約を破棄してもらおうかと」


そう言った、王政さん。
その後、執事さんがさっき私の視界に映った、少し小さい、黒いキャリーケースをパカッという音ともに、開けていた。



ーーーーーーーーーーーーそして、今に至るというのだ。