私が、魔王様と帰って来たら。

クラスのみんなに聞かれた。


「王子様とはどのようなご関係で?!」

とか。

「付き合ってるの!?」

とか。

記者のように、私を問い詰めて来て。
それに慣れているのか、魔王様が。



「それは……秘密」

と営業スマイルで、マスクの上から、人差し指がマスクに触れながら、みんなをハートの目にしてしまう。


「……っ!!」

顔も赤くしながら。




だけど、この1日目の文化祭の1日目で、歴史的なことをクラスのみんなは目の当たりにしていた。



「どういうことだ……よ゛?」

魔王様は、私たちの教室にボスのような座りをしながら、教室(カフェ)の椅子に座る。……そして、最後のひらがなに濁点付いているし。

……クラスのみんなが、怯えていて。

廊下にも聞こえていたみたいで。

文化祭のお客さんも、私たちのカフェのところに視界に行く。



「な゛あ゛?楓?」


ニヤケ顔なのか。口角を上げる魔王様の姿は。


「早く真実を吐け!」というオーラになりながら、本物の城に住んでいる、魔王様の椅子に座っている姿だった。


マントが……背中に掛けられていませんか!?



だけど、そう思っている暇はなく。

意見を言わないと。


もう魔王様、1人の流れになってしまうから。



「……いいじゃ、ないですかっ!」

私はトレーを持ち、魔王様がいる机のところに行きながら言う。


だけど、私の腕を魔王様が引っ張って。


私の片方の膝が、魔王様の片方の膝に付いてしまう。


それを見ていた人たちは。

もう。それは。目がハートになっていたり。
顔が赤くなっていたり。




「……っちょっ!?」



私のクラスの教室の中には、クラスのみんなしかいないので。
廊下から見る人がたくさんになる。



「……何?興奮してんの?」



「……違い、ます」


「……違く、ない顔、だね?」
と言いながら、私の頬に魔王様の手が差し伸べられる。




「きゃああああ!!!」とも、私と魔王様を見ている、女の人は言えずに。
口を手で塞ぎながら、見ていて。


それも少しだけ、私は視界をむけて、分かっていたこと。




「……で?公開処刑、や、る?」
と言いながら、私の耳に近づいて。




「キ…ス」



と私の耳元で言う小さい声は。

甘々な。イケボな声だった。



「い、いいですっ!……言いますから!!」



「偉い……ね?」



「………私が、発案して。私が、メイドになりたいって、自ら立候補しました……」

丸々、嘘を言う、私。


だけど、クラスの子は何も言えない状況だったから。
もう嘘吐いちゃえと思って。


理由は、魔王様が立ち去ってから言うね……!

なんて、クラスのみんなに念を込めていたところ。



「……そっか。ならいいや」

と言いながら、席を立って。



「楓。テイクアウト出来る?」
と私の目の前で言う、魔王様。


「はいっ……!何がいいですか?」
私は、メニューを渡しながら言う。


「……んー。楓」


「へっ!?」
私は、少しだけ、後ろに下がってしまう。

(言うと思いましたよ。by作者)


「……俺以外に見せたくないから。楓を」


「……っ。それは……無理です……」
「何で?」

すぐに、私に返答を求める、魔王様。

「私が、やりたい……ので」


「分かった。……じゃあ、クレープ苺味をテイクアウトで。野いちごトッピング」

良かった。
少しだけ、ホッと安心をする。

「クレープ、作ってあったよね?灯!」


私は灯を見ると。

ボーッとした顔をしていた。


……あの?


「灯さん?」


「……あぁ!ごめん!みんな、動くよ!!」
灯は大声をクラスのみんなの耳に響くように言っていた。



「……クレープ、いちご味で!!みんな動くよ!」

「やばい…!!やばい……!!あれ、見惚れちゃうよ…!!」

「すごすぎる……楓さん…」

なんて、クラスのみんなが小声で話していたのは分かっていなかった。





「はいっ!魔王様っ!クレープ、苺味の野いちごを添えてですっ!」


私はクレープを魔王様に渡したら。



「ありがとな。……怜!行くぞ!」



「……はっ!」
いつの間にかいた、怜さん。




夢のような。


幻のような。


魔王様といた時間だった。
魔王様が去ったら、文化祭の女の人のお客さんは、魔王様に付いて行っていた。



大丈夫かな……?



魔王様。


少しだけ、私は心配という思いが心の中にあった。