100万円の使い道は俺様魔王に握られました【1】


「……ひさ…しぶり」

私はペコっと少しだけ、頭を下げて、逃げようとしたら。




「逃げないで」



もう聞いたことがあるし。

早く逃げたい反応が、自分の頭に満杯になっている。



そう。

元カレだった。



あの元カレの性格が、変わってる……。

あんなチャラチャラしてたのに……。



『お前、俺と付き合ってよ』


今でも思い出したくないぐらいに。


『俺、お前ポイント稼ぎだと思ってたんだけど!?……気づかないってどれくらい鈍感だよっ!!』


……ポイント稼ぎ。
少女漫画とかでよく使われる言葉。


だけど……「もう。思い出したくないから。」


「……俺、お前が好きだって、自覚した」


「……っ。何それ?」


「中学のとき、女なんて、見た目しか見てねえんだって思って。軽い気持ちでお前に近づいてみたら。……可愛くて。だけど、中学の俺はポイント稼ぎに使えると思ったから」



「……だから、高校のとき、違う学校行って。自覚した。」



「……っ。いいから。そんなの。」


私はあの元彼の顔を見ると。

ひどいことを……呪いみたいに思い出す。

ポイント稼ぎ。

鈍感。


なんて、あいつと付き合わなければ、どれだけ良かったか。


もう。何もかも。


消し去りたい………の。


「兵雅……もう。消えて。」

私は、すごく胸がキューっと痛くなる。
そして、私は涙腺が緩み、涙が出てきそうで。


『俺と付き合って。』


かっこいい人から言われて、私は嬉しかった。


……すごく、毎日が楽しくて。


……独りぼっちだったのを救ってくれた人だったのに……。



「何で……ポイント稼ぎなんて……!」


「……っ。それはごめんって……」


「許されないってことは……「わかってるよ。楓」


「……っ…。バカ……「ごめんって。」

私は元彼の胸板に弱めな拳をぶつけながら言って。

こういうとき、かっこいい人は。


ずるくなる。




「俺、お前が……「好きか?」



遮った、もう1人の男の声。

毎日、聞いている声。


私は後ろを振り向くと。

「魔王様!?」



もう。分かっていた。
だけど、いないとも心の中でも少しだけ思っていたから、自分でびっくりしてしまう。


魔王様のプライベートの姿は。
帽子を深く被りながら、黒いマスクをしていて。
黒いマスクや、帽子を被っていても、俳優・御曹司オーラがだだ漏れしているくらいの背格好。

やっぱり、魔王様は身長が高いから。

見えやすいのかな?

と思っていたところ。




「何、勝手に取り戻そうとしてんだよ。元カレが」

そう、魔王様が言い終わったら、私の腕を強く引っ張って。


「ひゃっ!?」

引っ張っているとき、私は変な声も出て。



その私の変な声のせいで、みんなが振り向いて。



「ねえ!!王子様じゃない!?」

「嘘っ!?」

「というか、ねえ!秋風さんじゃん!!」

なんて、私たちが注目の的に。


やばい。これはやばい。
何で、こうなっちゃうかな……?



「……何、また、楓を好きにならせようとしてんだよ」


「………っ」


「お前は……楓を金輪際2度と見るな」


「……っ!!何で……!」

顔がすごく困り顔になる元彼。


「……俺の楓を泣かせた罪だ」

………っ!!?

私は魔王様をつい、見てしまう。


「いくぞ。楓」


私の腕をまた、強く、掴んで。


私を走らせて。

どこに行くのか分からないまま、私は、魔王様に連れて行かれた。



それを見ていた、人たちは。



「お姫様と王子様の誕生……!!」


「やばっ……!!」

なんて失神を起こしている人もいたりしていたり?