何時間か経ったあと。


お葬式の席にたくさんの人が椅子に座っていた。


えっ!?こんなに……おじいちゃん有名?
また、私はそう思って、後ろを見渡すと、すごい人の人数だった。


私は一番前の席に座っていたから、ギョッとして、目を見開いてしまう。
だけど、すぐに、知らない人と目が合ったので、すぐに、前を向いた。



「これから、秋大正志様のお葬式、火葬場を始めたいと思います。」

男の人がマイクの前でしゃべる。


「進行させていただきます、王政義數です。よろしくお願い致します。」
と言い終わったあと、一歩下がり、お辞儀をする。


あっ……!さっき女の人が言ってた人の名前……!!
私は王政義數さんの顔を見る。

見るからにイケメンだなぁーー……。

……って、揺るがない!!!
と思いながら、すぐに首を右、左に振る。

……ん?……おじいちゃんが手紙を書いてくれた、封筒の中に入っていた、イケメンの写真と似ている気がする……?
なんて、頭を働かせて、王政さんの顔を見ながら、推理を始める。


……って馬鹿!
知らない人に疑いをかけるなんて、失礼過ぎ……!

と私は思いながら、首を右、左へと振っていたら。



「……など、私と正志様の付き合いを……とその話が長くなりました。失礼致しました。
これから、花を置く準備にとり掛かりますので、少々お待ちください。」

私は話を聞くのを忘れていた。




おじいちゃんの棺に花を置く準備に取り掛かる、お葬式のスタッフさんたち。




「準備が出来ましたので、皆さん、列に並び、棺にお花を添えてください。」
と王政さんが言っていた。



お葬式にいる人が棺のところに並び、お花を添えている。
私は、最後にしようと思い、最後になるまで待つ。



王政さんも並んでいて、私の前だった。


『おじいちゃん。ゆっくり休んで。楽しかったよ。』
と思いながら、お花を添える私。

添えたら、すぐに自分が座っていた席に座り、終わるのを待っていた。


……………
…………
………
……




火葬場なども無事終わり、皆さんが帰って行っていた。
最後に、お葬式の場所の扉の前で、礼をし、帰ろうと思った瞬間だった。



「お前、正志様から言われた孫か?」




……っ!?
私は少しだけ、肩を震わしながら、後ろを振り向くと。
マイクに立っていた、男の人だった。



「あ、あの……どうかしましたか?正志の孫ですが??」
私は少しだけ、ビクビクしながら言う。


「お前が……あの正志様の……」


「???」

「やっと会えた」
そう、私に呟いたのかも分からない言い方。

「???」
「よし。行くぞ。……怜(れい)。あの孫を乗せろ。」

わ、分からない。…どういうこと?

「はっ。」
その王政さんの隣にいた人はお辞儀をして、私の腕を強く掴みながら、歩く。

きっと執事さんだろう。と心の中で少しだけ思う私。



「……えっ!?ちょっ…ちょっと!!?」

強引過ぎません!?

「義數様から言われておりますので……と言うか、乗れや」


えっ………!?
さっきと……全然違くない!?

…こ、怖すぎぃ……!!
と思いながら、私の顔が青ざめていたとき。





バチンッ!!






お葬式の場所の外にあるホテルのロビーに手で顔を打った(ぶった)音が響く。


その音が響いたから、ホテルのロビーにいる人たちもザワザワと騒ぎ始める。




「何それ……!!!私と結婚しよって言ってたじゃない!!」

「はぁ?お前に言った覚えはねえよ」


ド、ド、ド修羅場………!

なんて、ど修羅場な場面を見てしまった私。
なんと!その男の人は、王政さんだった。


なんか、王政さん絡み多くないすっか?
と思いながら、私は王政さんを見る。




「早く行くぞ」
私の腕を更に強く掴む執事さん?が言う。



「えっ……ちょっと!!」


「お前は、俺に従ってろや」

な、なんか、俺様じゃないっ!?



俺様が2人に増えました!
テッテレ〜〜!テッッテッレ〜!

秋風楓、レベルアップ!


頭の中の端っこで、ゲーム画面が表示される。……頭の中がゲーム画面に染められているなんて露知らず。






「へっ………?!」
と執事さんの言葉に私は口をポカンと開けながら、驚いたそのとき。



「……わぁ!?」

何故か、私の足が床に無くて。
私は執事さん?に担がれていて。

自分の体が横になりながらも歩いている執事さん。


も、もしかして………お姫様抱っこ…?
なんて、私は、口から声をこぼすと。


「はぁ〜……そんなの知らねえ。早く車乗るためや。お前、興奮すんな」
ため息を吐きながら、私をお姫様抱っこしている執事さん。



お葬式場、ホテルの駐車場に着いた。
だけど、まだ私を降ろしてくれない。



だから、執事さんは、私を担ぎながら、片手を車のドアノブを引っ張って、扉を開ける。



バタンッ。


私はすごくふかふかな椅子に乗せられて、座る。




もうよく分からない。

ボーッとしてしまう。

ブーンッ!!というエンジン音を吹かしながら、車を運転する執事さん。


「眠い。」
私は目を擦りながら、無意識に体が横になってしまい、車の椅子で寝てしまっていた。