咲き誇れ、麗しい華。

「どう? 不安は、減った?」

「はい。昨日に比べたら少し楽になりました」



昨日はあんなに出たくないと拒否感でいっぱいだった。

けど、先輩のおかげで、今では「かっこよく踊れるかも」と希望の兆しが見えている。


そう付け加えて答えると、照れくさそうに「ありがとう」と微笑んでくれた。



「あの、こんなこと失礼かもですけど、怜央先輩は、うちのクラスの応援団はご存知ですか?」

「もちろん! 真子ちゃんと野本(のもと)さんと、木内(きうち)くんと大隈くんだよね? 毎日熱心に取り組んでくれてるから助かってるよ」



「何食べたらでっかくなんのかな〜」と大隈くんを羨む彼の隣で、目を丸く見開く。



「真子のこと、下の名前で呼んでるんですか?」

「うん! 同じ小学校だし、なんなら──」



すると、怜央先輩の背後にぬっと人影が現れた。



「ひゃああー! ちょっ、何すんだよ!」

「声でかいからもう少し抑えてって言おうと思って」

「だったら普通に言えよ! 驚くだろ!」