咲き誇れ、麗しい華。

本当はどこも悪くない、心が痛むだけで体はピンピンしてるのに。

だけど、みんなと顔を合わせるのが怖くて、答えられなかった。



「あー、朝から体育ってマジだりー」

「わかる。放課後練もだりーよな。雨降って中止になりゃいいのに」



チャイムが鳴ってしばらく経った後、廊下を歩く足音と一緒に生徒たちの声が聞こえてきた。


ドクン、ドクン、ドクン。


どうしてだろう。カーテンで外からは見えないのに……心臓がうるさい。



「もうすぐ先生来るけど、ここで平気? まだ朝だから、そこまで人は来ないと思うけど……」



再び顔を覗き込まれた。


そうだ。今は準備の時間。その上、体育祭の練習期間。

朝でも怪我の手当てをしてもらおうと訪れる人がいるかもしれない。


クラスの誰かが来る可能性も──真子が来る可能性だって、全くないとは言い切れない。



「もし、誰とも会いたくないなら……奥で休む?」

「え……?」